金属アレルギーという言葉を聞いたことがありませんか? 特定の金属を長期間身につけていることで、皮膚が腫れたり痒みがおこる現象です。
ブレスレットやネックレスなどのアクセサリーでも、かゆみ、赤くなる、湿疹といった現象が起こることがあります。ほとんどのケースで汗や皮脂汚れが原因になっています。
今回はこうした皮膚の炎症の対処法について調べてみました。
目次
ネックレスをしたら汗でかゆみや湿疹が…。これは金属アレルギー?病院に行った方がいい?
ネックレスをしたら皮膚が赤くなったり、痒くなったり、湿疹が出た。ブレスレットの痕がついた。指輪をしたら痒くなって指が腫れた。
こうしたアクセサリーによる皮膚の炎症を経験したことがある人は多いかもしれません。この場合、すぐに「金属アレルギー?」と思いがちです。
アクセサリーが原因の炎症の場合「接触性皮膚炎」と「金属アレルギー」のふたつが考えられます。
【接触性皮膚炎】
長時間、特定の場所が連続して擦れるなどして皮膚に炎症が起こるものです。汗、湿度が高い状態が続く、垢が溜まる、擦れるといったことが原因で、汗を吸わない素材が肌に長時間接触しているとよく起こります。
アクセサリーを付けると、アクセサリーと皮膚の間に汗や汚れが溜まります。汗や汚れが溜まったところが連続して擦れてしまいます。これによって、皮膚が炎症を起こすことがあります。
これはアクセサリーに限らず、女性の場合は生理中など肌トラブルが起きやすい時の下着が原因で起こることもあります。
皮膚が弱い人の場合、金属に限らず皮膚が柔らかく弱い部分で同じような炎症が起こるケースがありますので注意してください。
【金属アレルギー】
まず、金属自体はアレルゲンにはなりません。金属自体は悪者ではないのです。ただ、金属が長い時間、汗などの液体と接触すると金属イオンが発生します。この金属イオンが皮膚のタンパク質と結びついてできたものが、アレルゲンになります。
ネックレス以外にも、歯の詰め物やピアス、職業で特定の金属を長時間にわたって日常的に扱う人に起こります。
金属アレルギーかどうか、ということは、皮膚科や歯科で検査を受けると解ります。二の腕など皮膚の柔らかい所に試薬を貼り付けて反応を見ます。
ただ、この検査は「実際に炎症が起こった」「歯に詰め物をするけれど大丈夫か」といった治療が必要・必要不可欠という時に行います。
ネックレス使っても大丈夫かな? 痒くなったら嫌だからテストを受けたい、というようなケースでは検査をしてもらえないことがありますので注意してください。
心配な場合は、いろいろな素材のアクセサリーを実際に2~3日くらい身につけてみて、かゆみなどが起こるかチェックしてみてください。これは皮膚科などで行うパッチテストの模擬版といえます。
ちょっとした皮膚炎であれば数日で治まります。病院に行く必要はありません。
ただし、炎症が治まらない、皮膚がただれたり膿んだりする、全身に痒みや発疹が広がる、めまいや嘔吐、痙攣などの症状が出る、という場合は病院に行きましょう。その時に、実際に身につけたアクセサリーを持参するといいですよ。
ネックレスで汗に強い素材やブランドは?
ネックレスを選ぶときは「素材」をチェックするようにしましょう。金属の中でもイオン化し易いものは金属アレルギーの原因になります。
例えば、ニッケル、コバルト、クロム、亜鉛、銅といった金属はイオン化し易く、金属アレルギーの原因になります。安価なネックレスはこうした金属を合成したもので作られているケースが多くあります。
一方、プラチナやチタンはイオン化しにくい金属なので、アレルギー反応が出る可能性がとても低くなります。
なお、金は純金(24K)ならアレルギーの可能性がとても低いのですが、18金の場合は胴・パラジウム・ニッケルなどが混ざっているので、それらが原因で金属アレルギーを起こすことがあります。
他にも、銀は比較的金属アレルギーの心配がないと言われています。つまり、高価な貴金属であればアレルギーの可能性が低くなります。値段が高くなりますが、貴金属を選ぶといいですよ。
なお、今、アクセサリーの中でも「サージカルステンレス製」といわれるものがあります。サージカルステンレスとは医療用器具に使われていた「耐久性、腐食防止、酸化しない、熱に強いなど、特殊加工を施したステンレス」のことです。
クロム、ニッケル、モリブデン、鉄などを合成して作り出す金属なのでアレルギーが絶対に起こらないという訳ではありません。ですが、他の合成金属よりは可能性が低いと言われています。
金やプラチナよりは安価に入手できるので、金属アレルギーが心配な方はサージカルステンレス製といわれるアクセサリーを選ぶといいでしょう。
【サージカルステンレス製のアクセサリー取り扱いメーカー】
・KCOOMA
・vie
・Zanipolo Terzini
・Knot(Made in Japanの紳士物の時計)
なお、プラチナや純金でも金属アレルギーがでてしまうような方には、希少金属で作られたアクセサリーがあります。それはタンタルやハフニウムという金属で作られたアクセサリーです。
金属アレルギーがある人や、アトピー性皮膚炎などで皮膚が弱い赤ちゃんを抱っこする時に指輪が心配、というような人が「結婚指輪」をオーダーすることが多いようです。
ちょっと値段が高くなりますが、金属アレルギーがある方はこうした希少金属のアクセサリーを検討してみてはどうでしょうか。
ネックレスが汗でサビた時の修理方法は?首に緑の線がつくのはなぜ?
皆さんはどのくらいの頻度でネックレスの手入れをしていますか?アクセサリーは身につけた後はこまめに柔らかい布で汗や皮脂汚れを拭き取りましょう。
ネックレスの表面に緑色のカビのようなものが出てきたり、肌に緑色の線が付いてしまうことがあります。これは金属の錆びです。緑色のサビは緑青といわれるもので、銅や真鍮などを使った合成金属で作られたアクセサリーに多くみられます。
こうしたイオン化し易い金属を合成して作ったネックレスの場合、水分や塩分と反応することで緑色のサビ(緑青)ができてしまいます。サビがこびりつく前に取り去るようにしましょう。
金属のサビのほとんどが「重曹」「金属磨き」「還元漂白剤」を使うことで綺麗にとることができます。
(1)重曹を溶かしたお湯、還元漂白剤を溶かしたお湯に数分間漬ける。
(2)ペースト状の重曹や、還元漂白剤を付けた布でぬぐい取る
(3)重曹ペーストや金属磨き、還元漂白剤を付けた歯ブラシで擦る
(4)重曹ペーストや金属磨きを付けてワイヤーブラシで削り取る
(1)が最もソフトな方法で、(4)に近付くに連れて「力業」になっていきますので、アクセサリーが傷付く可能性があります。注意しましょう。
どうしてもとれない場合は削り取る必要があります。そういう場合は宝石店に相談するようにしましょう。
ネックレスが汗で変色して黒ずんだときの対処法は?
シルバーのネックレスなどは、汗や皮脂汚れがついて黒ずんできます。こうしたアクセサリーも「身につける度、メガネ拭きやガーゼなどの布で拭く」という手入れを欠かさないようにしましょう。
ネックレスも金属の種類によって手入れの方法が異なります。代表的な金属のネックレスの手入れ方法を紹介しましょう。
【金のネックレス】
金は酸化しにくく、錆びにくいのでメガネ拭きやガーゼといった布でほこり・汗・油脂を拭き取る程度で大丈夫です。
布で拭くだけで落ちない汚れは、中性洗剤を付けてぬぐい取ります。それでも落ちないような汚れが付いた場合は宝石店などで相談するといいですよ。意外かもしれませんが、仏壇店に相談すると良い手入れ方法を聞くことができることもあります。
【銀のネックレス】
銀はこまめに専用のクロスで拭きましょう。それでもくすみがとれない場合は「重曹を溶かしたお湯」にしばらく付けておくとピカピカになります。頑固なくすみは、重曹ペーストを付けた歯ブラシで丁寧に擦るようにしましょう。
【真珠のネックレス】
真珠のネックレス(真珠の部分)は、専用のクロスで丁寧に汚れを拭き取りましょう。また、デリケートなアクセサリーなので、吸湿性・吸油性に優れ、サビから保護してくれる保存ケースを使うといいですよ。さらに、扱うときはできるだけ手袋をはめて触れるようにして、指の皮脂汚れなどが付かないように気を付けましょう。
【プラチナのネックレス】
プラチナの場合は中性洗剤につけて、柔らかな豚毛などのブラシで優しく擦ると汚れが綺麗におちます。また、貴金属専用の汚れ落としを使うと綺麗になります。頑固な汚れは宝石店に相談するようにしましょう。
なお、金属だけでなく、宝石類が付いたアクセサリーは石の部分がくすんだり傷付いたり黒ずんだりすることがありますので、宝石類を金属磨きなどで擦ることはやめましょう。
まとめ
ネックレスも素材によってアレルギー反応が出る可能性が異なり、手入れの方法も違ってきます。ネックレスを購入するときは金属の種類に注目して選ぶようにしましょう。
金やプラチナなどの貴金属は金属アレルギーになる可能性が低いと言われています。値段の面で貴金属より安価に手に入るサージカルステンレスという素材もあります。
他にもタンタルやハフニウムという希少金属で作られたアクセサリーもあります。自分の肌に合うものを探して身につけ、まめに手入れするようにしましょう。